JAとハイジ福祉会が農福連携で地域の農業守る2019.05.31
八女市の社会福祉法人「ハイジ福祉会」(山口由紀子理事長)は、JAと協力して、地域の農業生産基盤の確保や障がい者の社会参画を支援しています。
同会では自ら、作業施設「フラワーパッケージセンター」と農業用ハウスを所有し、障がいを持つ利用者の方を雇用しています。JA花き部会八女FPCガーベラ部とシンテッポウユリ部が同会と契約し、同センター内でのパッケージ作業を委託。また、同会がJAの正組合員となり、ハウスでガーベラとミディトマトを生産・出荷します。農家やJAにとっては労力軽減・生産拡大につながり、同会にとっては利用者の方の収入を確保できると同時に、農業を通じて利用者に地域との交流や社会参画の場を提供できます。
就労継続支援A型の同センターでは、15人の利用者の方がガーベラとシンテッポウユリのパッケージ作業を周年で行います。利用者の方には最低賃金が支給され、雇用保険や有給休暇も付与されます。労働時間は週5日で8時~17時。農繁期など季節によって変わり、ガーベラは年間約200万本、シンテッポウユリは約30万本の作業を受託します。利用者の方は同センターで仕事に対する知識や技術を学び、最終的に一般就労への移行を目指します。現在まで2人が一般企業へ就職しています。「福祉法人がJA傘下の部会と契約し、パッケージセンターとして施設を所有しながら雇用を創出する取り組みは全国的にも珍しい」と同会施設長の山口隆充さんは話しています。
またハウスでは、利用者の方がガーベラを127,000本、ミディトマトを15,000㎏JAへ出荷します。年間を通して作付けできるため安定した収入が見込める他、組合員としてJAを通して出荷することで「農業に参入する福祉法人にとって最大の課題」(山口さん)である安定した販路も確保できます。
同会の職員で、ハウスの栽培管理を担当する栗原秀徳さんは「利用者の方が農作業を通して生産者など地域住民と交流を深めることで、働くことの喜びや活力を見出してくれたらうれしい」と話しています。
同会は設立13年目。同センターでの委託作業は平成29年から始め、生産者の持ち込み数も年々増えています。ハウスでの栽培は平成30年から始めました。山口さんは「農家の人手不足が深刻化する中、活動を通して地域農業の活性化と障がい者の自立支援の両立を目指していきたい」と話していました。